12月20日(Tue) 真冬の惨劇
12月ってのは、クリスマスというものがあり、家族にとってもカップルにとっても
スペシャルな月である。が、しかし忘年会シーズンでもあり。
この1年の苦労を忘れよう☆Let's らんちき騒ぎ。の目白押しである。
わたくしは『酒呑み』であるからして、やたら酒処に出没しているが、この冬も様々な忘年会風景を拝見させていただいている。
つい先日もひとつ、印象的場面に出くわした。
とある焼き鳥屋で呑気に飲んでいると背後から「どぅわはっはっはっ。」
ドスのきいたおっさんの笑い声が聞こえてくる。肩をばんばん叩かれている
新入社員らしき若者の頭のてっぺんは『ついさっき生まれたひな鳥』のようにハゲていらっしゃる。
切なくなるほどに。で、おっさんは酒が進むにつれどんどん調子に乗り、「しっかしお前の頭は明るいな!!
ハゲしいな!!なんつってな!! おいおいおい!!」
両手でペカッペカッっと点灯のジェスチャーまでしている。若者は産毛のような髪を汗で濡らしながら、それでも
必死に飛びきりの笑顔を振り撒きながらお酌している。
大丈夫だよ、こっぱげ君(あ、失敬)このクソ親父はわたくしが呪っておいてさしあげよう。
帰り道つぶれたおっさんをそこらに捨ててゆきたまえ。
さて、わたくしも過去に『まっぴらごめん』な苦労をしたことがある。
へたに酒に強いと『酔いつぶれ者処理班』 にまわらざるを得ないことが多い。
ずいぶんと前のことだが、音楽仲間達と忘年会を新宿にて、とり行った。
わきあいあい、愉快に飲みながらもわたくしは、多少気がかりなことがあった。
酒に強くないサックス吹きの『斉藤』 がかなりのハイピッチで飲んでいる。うわ、こいつ平気かよ・・・。
という嫌な予感は的中してしまった。艶やかなピンク色であった顔色は徐々に青くなり、
先ほど美味しく頂いたお料理を胃腸からリバースし始めた。
お客様、こういった返品は困ります。(怒)
電車もなくなることだし、店を出て駅に向わなくてはならない。
池袋までは、監督を胴上げする選手達のごとく、皆で『斉藤』を掲げながら運んだのだが、
わたくしの惨劇はここから始まるのである。
「Katzla、こいつ頼むわ。」「方向一緒だもんね、連れて帰って。頑張れ!」
それぞれが申し訳なさそうに自分の路線方面へ散ってゆく。糸の切れた操り人形『斉藤』を託し。
愕然としたが、こやつを自宅まで送り届けねばならぬ。財布に相談してみたものの、答えは
「NO タクシー!!」とのこと。とりあえず胸ぐらを掴んで起こしてみた。
「ぬおおおお!!」とありったけの力でおぶってみた。ひとつ勉強になった。
意識を失った長身男性は非常に重い・・・。
しかも、である。この男、リハ帰りで宴に参加したため、楽器を持ってきていやがったのである。
テナーサックスってもんは、本体だけでもかなり重いのに、ハードケースになんぞ入れているので総重量は
優に10sを越すのである。二人分のバッグを首から掛け、奴を背負い、楽器を手にし、ぐらぐらと歩み出した。
おそらく、その時のわたくしは『仁王様』 より恐ろしい形相だったと思われる。
・・・・電車を降りたら、またこの不必要な筋トレの開始である。
降りたくもない駅にてでっかい物体を引きずり下ろし、再び『おんぶスタイル』でなんとか改札を抜けた。
さぶい(悲)。涙が飛び出す。
だいたい、「夜道は危ないから☆」と優しく送っていただきたいのは、女の子であるわたくしの方である。
おんぶしてるもんだから、ぴったしと頬を寄せ合っているが、嬉しくもなければときめきもしない。
あげく、「そこ右・・・。」 などと指示してきた。「起きたのであれば歩いちゃくれないか?」
と問えば「無理・・・。」とぬかす。
時速が亀より遅い『人間タクシーKatzla』はのろのろと道を進んだ。
耳元で「ねえ、水・・・。」は?水?殺しちゃいますよあなた。
自販機で『茶』のボタンを押したのはいいが、かがんで茶を取り出さねばいけない。
超過酷なスクワットに耐え切れず、我々はぐしゃ。とつぶれた。
その後わたくしは「てめえ、ゴラァ。」などとチンピラ化しつつ、遠く険しい道をゆき、斉藤家の玄関前にて
彼を降ろした。おぼつかぬ手つきで鍵を開け、『斎藤』は「じゃ・・ね〜・・。」と家に吸い込まれていった。
扉の向こうでどさっ。 っと音がした。倒れ込んだらしい。知ったことか。
わたくしの任務はここまでだ。がくんがくんの両手両足で這うように我が家に辿り着いたわたくしであった。
翌日。全身筋肉痛のままボーカルレッスンを終え、スクールを出た瞬間、目の前に小さく背を丸めた『斎藤』が
立っており、詫びに詫びたのは言うまでもない。ふっ、ボケが♪
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