
2005年11月のTalk-Delivery
11月21日(Mon)中学一年生の頃の話である。桜舞い散る春、めでたく入学し同じクラスにて 『平山ちゃん』に出会った。あいうえお順で席が設けられており、わたくしは『平賀』、 すぐ後ろに平山ちゃんがいたわけである。落語家みたいなしゃべり口調で、話も面白く 本当に楽しい女子であった。 フルスピードで仲良くなり、半年ほど経った頃だったか。 授業中、背後から「ちょいと、あのさ。」と彼女の声がする。教師にばれぬよう遠慮気味に 振り返り「なになに?」と応答した。 「うちのお父さんに女がいるんだよ。浮気してんだよ。」わたくしはぶったまげた。 眼球が飛び出すかと思った。ついでにロケットのごとく、わたくし自身が椅子から発射してしまいそうであった。 そんなドラマみたいな事が身近で発生するとは。平山ちゃんは小声で、いきさつやあらまし等を語り始めた。 なんでも若くけばけばしい女が 、いけしゃあしゃあと乗り込んで来た上どんどん通い始め、家庭内を占領しようと しているそうだ。お母さんは泣き崩れノイローゼになり、目の下はクマだらけでグッタリしている、と言う。 お父さんは気にも留めず、そのにっくき女の好きにさせている。 「昨日なんかさ、女が酢豚作って、は〜い食べなさい☆ときたもんだ。あたしゃやめてください!!って皿を ひっくり返してやったよ。」すごい、すごすぎる。浮気って影でコソコソするもんじゃないのか。 なんとまあ、オープンで攻撃的な・・・。 「離婚するらしいや、うち・・・。」動揺しながら夢中で聞いていると、突然脳天に激痛が走った。あいたっ! 顔を上げると、静まりかえった教室の真ん中で数学教師にげんこつをかまされていたのである。 完全に黒板に尻を向け、『平山机』にかぶりつき状態 になっていたことに気付いた。 「今日の俺の授業がそんなにつまらんか、平賀!!」ものすごく怒っている。ので 「いや、いつもつまんないです。」 とは言えず、反省の色を見せつつ、その場は 乗り切った。 その後『うわの空』 →『もんもんと考える』を経過し、最終的に『怒り』に変わり、「なんとかせねば。」という激しい 使命感がわたくしにみなぎることとなる。 「誰にも言わないでね。あたしゃ大丈夫だしさ。」と平山ちゃんは言うけれど、そんなことあっちゃならんのである。 休み時間、2名の友人を呼び全てを話した。両者とも、怒りあらわに震えだした。そして結成したのである。 『平山家救済団』なるものを。 まず、平山ちゃんに内緒で家に乗り込む。女を倒し、お父さんにも『お仕置きパンチ』をお見舞いする。 お母さんを励まし、離婚を阻止するのだ。ゆけ、救済団。今こそ立ち上がれ。 放課後、我ら3名は稲妻より早くチャリををこいだ。 到着し、チャリなんぞ適当にぶっ倒したまま、『魔の城』に突入した。リビングでお母さんが茶をすすっていた。 超興奮状態の我らは「おばちゃん、もう大丈夫だから。」やら、 「泣き寝入りは良くない。あなたがしっかりしないでどうするのか。」 その他「どこですか、例の女は。まかせといて。」とまくしたてた。 すると、だ。お母さんは目一杯の『きょとん顔』で「何が?」と言った。 「え、だってこれこれこうなんでしょうが、この家は!」詰め寄ったのだが「あの子そんな作り話したの!? 騙されちゃったわけ!?」・・・見てみりゃお母さん、健康的に肌をつやつやさせていらっしゃる。目の下にクマなんて 一筋も見あたらぬ。ぽっかーん、としていると2階からズダダダダダーと転がり落ちて来るように平山ちゃんが登場し、 バッタリと我らの足元にひれ伏し、拝むようなポーズで「ごめん!!全部嘘!!」 自室にてしばらく様子を窺がっていたらしいが、本格的にやべぇ、と思ったのだろう。逃げ切れぬ、と。 「平賀ちゃんあまりにも信じちゃってるから収拾つかなくなっちゃって。」などとぬかしている。 「ふざけんじゃないよぉぉぉ。」と脱力しているところへ、ぶっとばす予定でいたお父さんが会社からご帰宅。 「ちょっと聞いてよあなた!!かくかくしかじかでみんなが心配して来てくれちゃってるの!!」といったお母さんの 報告にお父さん、みるみる間に顔を真っ赤に染め上げ 「ぬぁにー!?この恥さらしが!」 と怒鳴り始めた。数発、ぶたれていたような気がする。で、浮気なんかしそうにないお父さんが 「えっと皆さんうちはそんなこと一切ないんで!すいませんでしたね!こいつはたっぷりと叱っときますんで!!」 ・・・・・。わずか数時間で救済団は解散し、寒空の下それぞれの家へ帰っていったのだった。 翌朝。疲れた様子の平山ちゃんに「おはよう、平山ちゃん(怒)。」と声をかけた。 「んもー、平賀ちゃんのおかげで晩御飯抜きだったよう。あたしゃお腹すいて眠れなかったよう。」 自業自得だ。ざまあみさらせ。 平山ちゃん、元気?後にも先にもあんなサプライズやってくれちゃうのあんただけだわよ。 いひ♪ |